住宅ローンを夫婦共有名義にする際の注意点をFPが徹底解説

カテゴリー:FP・専門家    

篠崎ひろ美篠崎ひろ美

2008年に住宅ローンの専門家として起業。単なる机上のアドバイスに留まらず、金融機関への取次等の実行支援を行うことが大きな特徴。そのノウハウを生かし、生命保険業界向けセミナーや企業の従業員向けセミナー、マネー誌の執筆など幅広く活動している。

住宅ローンのご相談で「夫婦共同名義にしたいんだけど、してもいいか?それとも、しない方が良いか?」といったご相談はたいへん多いです。

そこで今回は、住宅の「共同名義」について詳しくお伝えしていきたいと思います。

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不動産の持ち分の決め方

優しいご主人いわく、「妻は専業主婦だけれど、持分はきちんと持たせてあげたい。」と。
しっかり者の奥様いわく、「主人の給料でローンを払うことには違いないけど、やっぱり財産は二人のもの」だ。

どちらの言い分も、おっしゃる通りです。でも!気持ちだけで「共有」はできないんですね。不動産を購入すると、「誰の持ち物か」をきちんと登記しなくてはなりません。

その時に、勝手に「夫と妻で2分の1ずつにしよう!」と決めてしまうと思わぬトラブルになることもあるので
注意が必要です。

なぜなら、不動産を購入するにあたって「誰がいくら出したか?」という割合で登記しなくてはいけないからです。

たとえば、妻が頭金を1000万円出して、夫が1000万円のローンを組んだ場合は、仲良く2分の1ずつで問題ありません。でも、頭金もローンもすべて夫名義なら、妻の持分はゼロということになります。

夫婦共有にする3つの方法

どうしても、夫婦共有にしたいなら、3つの方法があります。

  1. 夫と、妻がそれぞれローンを組む
  2. 妻がローンを組めない場合は、現金部分は妻が負担をする
  3. 収入合算を利用し、ローンは夫名義で組み、妻が「連帯債務者」となる。
    ※ただし、この方法はフラット35でしか、使えません。

 

共有名義には、さまざまなメリット、デメリットがあるので、きちんと考えてから決めることが大切です。

 

住宅ローンを夫婦で負担する注意点

住宅ローンを夫の給与だけでなく、夫婦で負担する家庭も少なくないでしょう。ここからはその際の注意点を3つのパターンごとに説明していきます。

それぞれが住宅ローンを組む際の注意点

奥さんがローン支払い期間中、ずっと働くなら問題ありませんが、もし、途中で退職をする場合は注意が必要です。

退職後のローンを夫が支払えば、妻のローンを肩代わりしたということで贈与の対象になるからです。

ただ、実際そのようなケースで、贈与税がかかったという話は私が知る限りでは、聞いたことがありませんが…。

サラリーマンなどの個人では、税務署に知られる可能性は大変低いですが、会社経営者や個人事業をされている方は、会社等の調査から個人の調査につながる可能性はあります。

団体信用生命保険についても理解しておこう

それから、団体信用生命保険についても、しっかり把握しておくと良いですね。

団体信用生命保険、略して「団信」といいますが、これは住宅ローンを支払っている人が万一死亡したり、
高度障害になった場合、以後の返済が免除されるという保険です。

夫婦それぞれが住宅ローンを組むということは、団信もそれぞれが加入するということになります。

つまり、夫に万一のことがあった場合は、夫のローンは免除されますが、妻のローンは支払い続けなければなりません。妻に万一のことがあった場合は、その逆になります。

どちらか一方のローンが残ることに不安を感じるならば、その分をカバーできるような保険に加入しておくと安心ですね。

それから、夫婦それぞれが住宅ローンを組む理由として、夫一人の収入だけでは借りられる金額が少ないため、奥さんと一緒に借りるという方がほとんどです。

そうなると、奥さんが仕事を辞めた場合に、夫だけの収入で返せるのか?という問題が発生する可能性があります。

夫婦がそれぞれ住宅ローンを組む場合は、奥さんの仕事について念頭にいれることが大切ですね。

配偶者の収入合算で住宅ローンを組む際の注意点

ややこしいのですが民間の金融機関で借りる場合と、住宅金融支援機構、つまりフラット35を借りる場合とでは異なります。

例として、夫が住宅ローンを組み、妻の収入を合算するケースを見てみましょう。

持分の登記

民間の金融機関の住宅ローンを利用した場合は、妻は「連帯保証人」となり、持分はありません。(ただし、頭金を妻が負担している場合はその分は持分登記できます。)

フラット35を利用した場合ですが、妻は「連帯債務者」となり、妻が負担する金額を持分登記します。

団体信用生命保険

住宅ローンを組む場合は団体信用生命保険に加入します。住宅ローンの名義者、このケースでは夫が万一死亡したり、高度障害になってしまった場合は、残りの住宅ローンが全額免除されます。

しかし、妻に万一のことがあった場合は住宅ローンの免除はありません。そもそも、夫だけの収入では返済が難しいので、収入合算しているわけです。そのような状況の中で妻の収入がなくなると、家計は大変苦しくなります。

お子様がいらっしゃる場合などは、特に教育費用等を削ることが難しいので、なおさら、やりくりは大変になります。ですので、収入合算する場合は配偶者が退職した場合を想定して住宅ローンを組むことが大切になります。

フラット35の場合は、夫婦で加入できる団体信用生命保険「デュエット」があり、どちらか一方に万一のことがあると、住宅ローンの残債すべてが免除されます。ただし、保険料は通常の1.5倍です。

家を購入するときは、目先のことばかりを考えがちですが、住宅ローンは長期間にわたって返済するものなので、将来のことをしっかり念頭に入れて組むことが大切になります。

その他のパターンでの注意点

上記のパターン以外での注意点についても詳しく説明していきましょう。

親からの資金援助

住宅購入の際に、親から資金援助をしてもらうパターンも少なくないでしょう。 この時に注意しておかなければならない点は、「借りる」のか、「贈与」なのかをハッキリしておくことです。

もし、借入でも、贈与でもなく資金の一部として負担する場合は、親の持分として登記しなければなりません。相続のときにトラブルや面倒なのがイヤなので、親の持分を登記したくないというのであれば、「借入れ」または「贈与」ということになります。

「借入れ」の場合は、親子間で金銭消費貸借契約書(借用証書)を作成して、契約書通りに返済しなければ「贈与」とみなされてしまいます。

また、贈与の場合は条件を満たせば住宅取得金の贈与を受けた場合の特例を受けることで、贈与税がかからない可能性もあります。

住宅ローン控除

住宅ローンの組み方によって、夫婦で住宅ローン控除を受けられる場合とそうでない場合があります。夫婦で住宅ローンを利用した場合のケースごとにまとめました。

  1. 夫婦が個別に住宅ローンを組んでいる         ↓
    →住宅ローン控除はそれぞれが受けられる。

  2. 一方が住宅ローンを組み、もう一方は連帯債務者(例:フラット35で、夫がローンを組み、妻は収入合算者である場合)
    →住宅ローン控除はそれぞれが受けられる。

  3. 一方が住宅ローンを組み、もう一方は連帯保証人(例:夫がローンを組み、妻は収入合算者で連帯保証人である)
    →住宅ローン控除は夫のみが受けられる。

 

万が一に対する備えも…

夫婦共有にする場合、もうひとつ念頭に置いておかなければならないのは、万一離婚した場合のこと。

これからマイホームを購入しようという方に、何を言うか!!と、思うかもしれませんが、離婚率が3割を超える実情では、万が一とも言えません。

住宅ローンが無ければ夫婦共有でも、さほど問題はないのですが、住宅ローンが残っていると、その後の支払いは誰がするのか?支払い続けられるのか?などなど、様々な問題が発生します。

「我が家には関係ない」とおっしゃるあなたも情報として知っておくことに損はないと思いますよ。

離婚のことを考えたら共有名義の方がいいのか?

「離婚など万が一のことを考えたら、共有名義にしておいた方が安心ですか?」という質問を受けることがあります。

たしかに、共有名義にすれば、不動産の所有権は二人で保有することになるので、一方の意思だけで勝手に処分することはできません。

しかし、夫が給料の減少などの事情で住宅ローンの返済ができなくなれば、妻がその義務を負うことになります。なぜなら、共有名義にする場合、一般的に妻は連帯保証人または連帯債務者になることが、住宅ローンを借り入れる際の条件になるからです。

夫が返済できなくなり妻も支払いが困難になれば、最悪の場合、自宅を手放さなければならなくなります。住宅ローンの残債を上回る金額で売却できれば、まだ良いですが、売却してもなお住宅ローンが残ってしまうことも十分あり得ます。

最近、ご相談で多いケースは「夫の住宅ローンを妻が引き継ぎたい」というものです。そうすれば、名義もすべて妻に変更され、スッキリするからです。

この場合、金融機関に相談しなければなりませんが、妻に返済能力があると判断されれば、多くの場合、金融機関も応じてくれます。

住宅ローンを組む際は、組んだ後のことをしっかり考えておきましょう。

 

まとめ

住宅の購入は一生で1番の買い物となるかもしれません。その際に安易に考えて、住宅ローンを組んでしまうと後で、痛い目をみる可能性もあります。

金額が大きいだけに、しっかりとそれぞれの注意点を理解して、最悪のパターンにならないように、前もって準備しておきましょう。

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